Slightly out of Focus
翻訳が古風(確か初版は1950年代)。
ワインは「葡萄酒」、ハンガリーは「ハンガリヤ」となっている。ハンガリーは、なかなか本書で重要な位置を占めるのだが、未読者のために詳説は避ける。
内容は文句なく面白い。戦場で生きた、生きざるをえなかった男たちの息遣いが聞こえる。名手がなぜ「ピンぼけ」なのか。タイトルも魅力的だ。
私は小学生の頃から、ロバート・キャパの名前を知っている。親父がカメラ狂で何度か聞かされたからだ。親父が言いたかったのは、キャパの素晴らしさよりも、ニコンのカメラが優れていたことだったが。つまり、キャパがベトナムに持っていったのはニコンのSであり、どんなカメラよりも戦場というタフな状況に対応できるカメラだということだった。実際、親父はニコン(SではなくFだが)をコンクリートの上に落としたのに、まったくどうもなかったらしい。そのニコンも今やデジカメを売っているが、親父はいまだに銀塩カメラ専門である。確かに、電気系統が多くなればなるほど、困難な状況には弱いので、冬山や灼熱の砂漠などでは今でも銀塩カメラの出番なのだろうが。
残念ながら、本書にはニコンは登場しない。それもそのはずで、これは第二次世界大戦の話なのだ。1950年発売のニコンSをキャパが手にしているはずはないのだ。登場するのはコンタックス。そう言えば、長らくニコンのカメラしか手にしなかった親父が、いつの間にかコンタックスのカメラを所有している。
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