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2007/07/22

July Bride

0707223

先週の三連休、皆さんはどう過ごしました?
僕は日曜日に京都まで出かけました。

結婚式があったのです。
僕の2回目の結婚式…ではなくて、嫁さんの10歳下の妹の結婚式です。

この義妹は神戸の大学でデザインの勉強をし、京都の下着メーカーで、商品開発の仕事をしています。歩くとシェイプアップにつながるという商品の開発も手がけたようで、20歳代の女性を対象にした雑誌からの取材を受け、結構大きく写真入りで取り上げられたという経歴も持ちます。

こう書けば、やり手のキャリアウーマン然とした女性を思い浮かべるかもしれませんが、4人きょうだいの末っ子ということもあり、おっとりした人柄で、敵を作らないタイプです。男性上司だけでなく、同僚の女性からもきっと好かれているはずです。

我が家に何度か来たことがあるのですが、仕事の様子をたずねると、仕事柄か性格からか、女性の下着(下半身の方)の開発で苦労していることを、各パーツの細かな部分まで含め、しかも明るくストレートに語るので、日本男児たる僕は、10歳年上の威厳も何もなく照れてしまい、「へぇ」とか「ほぅ」とか間の抜けた返事しかできなかったということがありました。

その義妹から結婚するという連絡が嫁さんに入ったのは、今年の晩春か初夏。場所と日取りを聞いて驚きました。

7月15日 京都東山

というのです。驚いたのは、僕が京都の東山にある大学に通っていたからです。京都は晩秋がやはりすばらしいのですが、盆地のためか、夏は暑くて風が吹きません。冬も底冷えがします。しかも7月の東山といえば、八坂神社の祭りの真っ最中です。そうです、祇園祭です。

1ヶ月に及ぶその長い祭りのクライマックスは言うまでもなく山鉾巡行(山鉾は「やまほこ」とも「やまぼこ」とも言います)で17日ですが、15日も宵々山と呼ばれかなりの人出です。普段でも八坂神社の辺りは観光客で込んでいますが、普段の休日の込み具合が、オーストラリアの人口密度ぐらいだとすれば、宵々山は日本、山鉾巡行はモナコぐらいです。
(ちなみに、人口密度は以下の通り)

オーストラリア 2.6 人/平方km
日本 339 人/平方km
モナコ 23660 人/平方km

なぜ、この時期になったかと、嫁さんも妹に尋ねたそうです。すると、「秋にする予定やってんけど、どうしても予約を取りたい式場があって、そこは、7/15しか空いてないねん」との返事だったそう。

例によって、前置きが長くなりましたが、肝心の結婚式当日の話に。

結論は、「良かった」。

0707222 大きな感動と、多くの驚きがありました。
まずは式場。

京都には、世俗を寄せ付けず日本通の外人が泣いて喜びそうな凛とした京都と、観光客目当ての商売が欲望をむき出しにしており日本通の外国人が失望して泣いてしまいそうな京都があります。
後者の最たるものがJR京都駅近辺。京都駅ビルと京都タワー。どういう神経があれば京都にあんなものを造れるのでしょう?

その次が、嵐山の土産店が並ぶ通り。今回訪れた式場は、その次ぐらいに俗っぽい八坂神社と清水寺の間にあります。式場のすぐ横には駐車スペースがあり、タクシーが客を降ろしたり乗せたりする騒々しい所です。何度かそこを通ったことがあったので、送迎バスが着いた時、「ああ、ここか」と冷たく思いました。ところが、……

0707221 中に入って驚きました。周囲の喧騒が嘘のような静寂。竹林が音と熱を遮断し、敷地内と外はまるで別世界。俗悪京都の中に、この清々しい雰囲気を作り出したのは驚きです(この記事で載せている写真は、全てその式場の写真)。敷地も建物も和風なのですが、そこは結婚式場。完全なワビサビの世界ではなく、明るさがあります。杉苔が生えていたのですが、どこか若々しい。義妹が、夏というマイナスを押し切ってまでこの式場にこだわったのも無理はないと思えました。

多くの驚きの中でも印象的なのは台風。まさか、まだ7月の中旬なのに台風に気をもまされるとは想像していませんでした。2日ぐらい前の予報では、ちょうど式場に向かう途中で台風が直撃する可能性があったのですが、幸い当日は曇天ながらも傘の必要もない天候に。ただ、新郎の親族が信州や関東で、台風の影響を受け、到着が大幅に遅れて間に合わなかったのは、お気の毒でした。

0707224 式は神前でも仏前でもなく、神父も牧師もいない、いわゆる人前式。こぢんまりとしたいい雰囲気の会場で、音楽はフルートと鍵盤楽器の生演奏。鍵盤楽器はピアノやオルガンではなく、たぶんハープシコード。ピアノの前身と言うべき楽器で、ドイツやイタリアではチェンバロというとか。数回しか聞いたことがない音色なので自信はありません。曲はアベ・マリアとかオーバー・ザ・レインボウとか。なかなか良かった。ただ、左の写真にもちらっと写っていますが、天井に西部劇で見るようなファンがありました。ちゃんと回っていたのですが、僕にとって、あれは西部劇の世界としか結びついていないので、違和感がありました。

神主も神父・牧師もいない結婚式で、堅苦しくなく、良い雰囲気の内に終わりました。短くて、ちょっとあっけない感じもしましたが。

僕と嫁さんだけでなく、子どもたちもよばれていたのですが、中学生の息子は、やはりと言うべきか、退屈そうでした。まぁ、年齢的に仕方がありません。僕は、中学生どころか高校生の時でも式典が嫌いで、50周年だか500周年だかの式典をサボって丘の上にあり涼しい近所の公園でビールを飲んだり、卒業式も出席はしましたが、ずっと本を読んでおり、起立もしませんでしたから。

その息子が披露宴の前に親族控室で目を輝かせました。
あれは何て言うんですか? 受付でもらえる堅紙を二つ折りにしたやつ。式次第とか席順が書いてあるあれです。プログラム、はおかしいのかな。ともかくその堅紙に載っていた料理紹介の最後の方、メインディッシュの所に

黒毛和牛のサーロインステーキ

というお言葉が鎮座ましましてございましたのどすえ。
現金なものです。息子は、スピーチはもちろん、乾杯もスープも前菜もとばして、いきなりメインディッシュを持って来いという顔つきに変わりました。

この堅紙はなかなか面白い趣向で、新郎と新婦のことが写真入りで愉快に紹介されています。とりわけ、「二人の共通点」というのが良かったな。京都の観光地の真ん中の結婚式だからお金もかかっているのでしょうが、それをこれみよがしに誇示するのではなく、この堅紙に象徴されるように、新郎新婦が手作りでお客さんをもてなそうという気持ちが色々な所で伝わってくるのが、この結婚式が好感の持てるものになった所以(ゆえん)でしょう。

その堅紙の中の新郎の紹介によると、北海道の都市名が会社名に使われていながら本社が東京のビール会社の社員だそうです。社員食堂では七福神の一人(一柱)の名を取ったビール黒字に☆のビールが無料で飲めるのだろうかと、子どものような想像をしました。(よく見ると新郎は営業なので、社員食堂は利用しないでしょう)

料理紹介で、メイン以外は何だろうなどと見ていると、驚きました。恐らく目がキラッと光ったはずです。息子以上に。なぜなら、……

ビールが新郎の会社の商品である、ちょっと贅沢なビール(緑色のバージョン)なのです!

いやあ、来て良かったと思いましたね。

披露宴が始まると、まずは新郎の上司のスピーチ。営業部門の親分だけあって話はなかなか面白い。ただ元は東京の人のようで……(慶事のため今回は東京に関しては自粛。興味がある方は他の記事をご覧下さい→どん兵衛から比較文化論など
次の、義妹の上司のスピーチは、……。開発担当の部署の方だから、……。新商品の開発頑張って下さい(その方面の趣味は残念ながらないので、僕は着用しませんが)。それにしても、あなたも、周りが女性ばかりでさぞ心労が多いことでしょうね。ご自愛ください。でも、良かった。あなたのスピーチがあと5分続けば、あこがれのビールを前におあずけをくらっている僕は、よだれをたらしていたかもしれません。

七福神の描かれたちょっと贅沢なビールにたどり着くまで予想より時間がかかりましたが、待たされた分、うまさが増すというもの。義妹の上司さん、ありがとうございます。

料理も美味しかった。特に、長崎五島産のスズキは絶品でした。ただ、純関西風の舌を持つ僕には、ソースがかかっていない所の方が美味しく感じました。フランス人は料理の素材を十分に吟味するそうですが、僕にはちょっと信じ難い。素材を吟味する努力を帳消しにするために、ソース作りに精を出しているように感じてしまうからです。

新郎・新婦のキャンドルサービスはありませんでした。もう一つ不思議なことに、テーブルの上にはビールの瓶が並んでいるのに、大きなピッチャーがあるのです。しかも空っぽ。同じテーブルの人たちと「何やろな」と話していたのですが、その時にもっと意識するべきでした。ピッチャーにが描かれているのを。

披露宴が後半にさしかかった頃、新郎と新婦が各テーブルを回り始めました。僕たちのテーブルに来たとき、謎が二つとも解けました。

新郎がビールのサーバーを背負わされていたのです!

各テーブルのピッチャーに新郎がビールを注いで回ります。キャンドルサービスの代わりに、ビールサービス。
手作りでオリジナリティのある結婚式もここに至れり!

ちょっと持ち上げさせてもらったのですが、ビールサーバーは20kgぐらいあったのではないでしょうか。営業職の大変さを思い知らされました。

営業職といえば、ビールに喜んだ僕でしたが、他の酒には驚かされました。乾杯のシャンパンも、白ワイン、赤ワインも、焼酎も全て新郎の会社の商品でした。ビールは絶品でしたが、他は、……。自社開発の商品ではないと思いますが、……。

新郎君、新婚で仕事も張り切るよね? じゃあ、

頑張ってビール以外の商品の品質も上げてくれたまえ。

もう一ついいですか。

焼酎だけでなく、日本酒も頑張ってね。
ないものは作るしかない♪ もんな。

京都の結婚式なのに日本酒が出ないのは想定外の外。まぁ、それほどに焼酎が人気で、日本酒の人気がないのでしょうね。

新郎とギターを奏でる彼の友人によるデュオや、義妹の同僚たちによる余興で楽しんだ後、いよいよ宴は最終盤。
新婦が両親へ感謝の言葉を、涙ながらに、つづる。

まだ学生ながら娘を持つ僕は胸が熱くなりました。そっと末席で立つ新婦の両親をうかがうと、岳父が涙をぬぐっています。

その姿を見て、僕もダメでした。ハンカチを湿らせることになりました。
(このことはここだけの話で、誰にも言わないで下さいね)

附記)
引き出物の中に、これもやはり手作りの DVD が入っていました。親族向けに作ったものと分かるタイトルがついています。

中身は、山下達郎の歌声をBGMに、家族の写真を綴ったスライドショーでした。両親以外の親族にまで、こういう気遣いができる義妹を、彼女が選んだ新郎を、偉いと思いました。

本当に気持ちを爽やかにしてくれた結婚式でしたが、一つ心配なのは岳父です。嫁さんに、寂しいだろうから実家に遊びに行ったらと言うと、「大丈夫。大丈夫。あの子は大学でてからずっと京都で、もう何年も離れて暮らしてたんやから」と答えた。やはり、女には男の心は分からない。僕なら酒を飲めばいいところだが、岳父は健康上の理由から、お酒はごくわずかしか飲めないのである。

ちなみに、我が家から嫁さんの実家までは徒歩で5分ぐらいです。

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