カテゴリー「アトピーが治るまで」の記事

2005/07/21

アトピーが治るまで(12)

~この記事は アトピーが治るまで(11) の続きです。~
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今まで苦いことを強調するなど、漢方に関してさんざん書いてきたが、これは効いた。
最初の処方でも、改善が見られたが、強い薬を混ぜた後は、更に効いた。

どれぐらい効いたか。
まず、漢方を飲む前の状況から。
痒さに耐え切れず、特に寝ている間にかきむしるので、体中血だらけ。シャツは常に赤く染まっていた。そのころは、慣れっこになっていたが、今思うと、とても人間の肌ではない状況だった。ゾウの肌とはまさに言いえて妙。

それが、漢方を飲みだしてからは、痒みがましになった。朝起きた時の出血が徐々に少なくなった。少し効き出すと、「この薬は効く」と思って飲むから、更に効果が増す (信頼している医師に処方してもらえば、小麦粉でも風邪が治るとかいうあれです)。

全身に出ていたアトピーが一ヶ月ほどでかなり治まり、見た目には人間に見えるようになった。それまでは、エレファントマンだったから。残るは、首と、ひじやひざの内側ぐらいになった。僕の状態の変化を見て、是非どんな治療をしたのか知りたいという人もいたので、今度医者に行ったら、一体あの薬の正体は何か聞いてみようと思った。

「お、朝霧さん、これはきれいになってきましたね」

「もう、本当に先生のおかげです」

「一ヶ月頑張って煎じ薬を飲んだ甲斐がありましたね」

「先生、一つ聞きたいんですが」

「薬の原料でしょう? 最初は飲むだけで精一杯の患者さんも、効き始めると興味がわくんですよね」

(やっぱり、そういう人が多いんだ)

「ええ、そうなんです。一体何を使ったらあんな薬になるんですか」

「朝霧さんは、意志が強い方ですか」

「頑固と言われることがありますから、そういう時もありますが、からきしだめな時もあります。でも、どうしてですか?」

「う~ん、言うのは簡単なのですが、聞いて飲めなくなる方もいらっしゃるんですよ」

(そんなに強烈なものを使っているのか!?)

「ここまで効きましたから、大丈夫です。飲まなくなって困るのは僕自身ですから」

「そこまでおっしゃるなら、お教えしましょう。朝霧さんの場合は、セミの抜け殻とスッポンの甲羅が主体の薬を処方したんです」

「えっ・・・・・・」

どんなすごいものかと思っていたが、その程度か、と最初は思った。
でも、考えてみれば、女性なら十分気持ち悪いと思うだろうし、男性ならそんなしょうもないもんかと馬鹿にするだろう。なるほど、医師が言うのを渋ったのも納得できる。

僕も、漢方で症状が改善する経験がなかったら、そんなものが薬になると聞いても笑ってやり過ごしただろう。でも、少なくとも僕の体質に合ったのは動かしようのない事実なのだ。

あんたは単純やから何でも効くのとちやうの →人気blogランキングへ投票

付記)
7/21 午前0時の時点で6位!
はっはっはっは。思い知ったかね、明智君。
早朝だけでなく真夜中でも達成だよ。

いつもクリックして下さる皆さん、本当にありがとうございます。
お蔭様で、ちょっとぜいたくなビールの500ml もおいしく頂きました。
5位以内に入ると、6本セットを買ってくれると、「雛にもまれな美しい」妻が申しております。
しゃあないな、ビールぐらい飲めるようにしたろか →人気blogランキングへ投票

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2005/07/16

アトピーが治るまで(11)

~この記事は アトピーが治るまで(10) の続きです。~
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このシリーズ、僕としては頑張って書いているつもりで、お蔭様で応援も頂いているのですが、
「肝心のアトピーのことが少なすぎるわ」
「どこまで引っ張ったら気が済むねん。はよ先に進めんかい」
といった苦情・苦言・脅迫も頂いており(脚色度200%)、殊勝にも「読者の皆様の声を真摯に受け止めなければ」と思う反面、生来の天邪鬼気質が頭をもたげ「何で怒られてまで書かなあかんねん」と幾分すねて、更に悪いことに茶目っ気を出さねば気がすまなくなり、このような余分な文章を書いています。

~すみません、ほんとに、いつもいつも。お待たせしました。以下本編。~

10日ほど飲み続けた。
漢方なので、ステロイドのようにきれい、さっぱり、という風にはいかない。
しかし、変化は確実に表れていた。

まず、肌にうるおいとまではいかないながらも、乾燥がましになった。
そのおかげで、恐らく夜中にかきむしる回数が減ったためであろう、皮膚のただれが減った。ゾウの肌だったのがワニの肌ぐらいには改善されたようだ。

発症の経験を持たない人にとっては、ゾウからワニ? そんなもん、全然変わらへんやんけっ!と思えるだろうが、たとえ若干でも良くなると、何よりも精神に良いのである。そして精神状態が身体にも影響を与えるというのが漢方の考え方の一つである。

2週間分の薬がなくなると、迷うことなく三宮の漢方医を再訪した。

「朝霧さん、どうですか?」

「お蔭様で、少しましになりました」

(医師は、脈をとり、舌の上下を診た後、肌の様子を確かめる)

「朝霧さんは、漢方が合っているかもしれませんね」

「そうですか」

「患者さんで、少し良くなっているのに『まだまだ悪いところが残っている』と思う方が多いのです。こういう方は、効き目の出るのが遅い中国医学にはあまり向きません。朝霧さんのように、たいして効果がでないうちから『少しは良くなっている』と思える方は、気が安定しますし、医師の方も余裕をもって処方ができるので、本当に患者さんに合う薬を探り出すことができるんですね」

「なるほど、そういうもんですか」

(そう言われて悪い気はしない)

「それでは、前回は初めてで少し抑え目にしましたから、今日は前回の薬を基本に、少し強い薬も混ぜてみましょう」

(えっ強い薬って、もしかして効き目だけでなく、臭いと味も?)

「煎じ方は同じですか?」

「そうです。ただ臭いはきつくなるので、奥さんには辛抱して頂かなくてはいけませんね」

(やっぱり! でも、辛抱しとんは嫁さん以上に俺じゃないのか)

「は、はい、分かりました」

身体だけでなく、気(ココロ)も重視する漢方医による、上げて落とす作戦 にまんまとひっかかった僕は、ゴミ袋ではなく、漢方薬の詰まった紙袋を携え、恐らく魂の抜けたような表情をしながら、家路についた。
続く

続きはよ書けよ →人気blogランキング へ投票
いつも応援ありがとうございます。さっき、何と11位でした。
夢の10位まであとわずかです。

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2005/07/11

アトピーが治るまで(10)

~この記事は アトピーが治るまで(9) の続きです。~
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嫁さんは文句も言わず漢方薬を煎じ続けてくれた。僕が続けられるかどうか危ぶんだようだが、よく言えば人よりも意志の強い(普通に言えば、頑固ってことです)僕は、漢方薬という名前は立派ながら、正体不明で泥水にしか見えない液体を、毎日飲み続けた。苦難の日々。

お茶じゃないから、アツアツがいいというわけではない。熱くて少しずつ分けて飲まなければならないので、その分苦しみの回数が増す。
冷やすと、一気に飲めるので苦しみも一回で済むが、医師が冷たい飲み物は避けた方が良いと言っていたことを思い出した。ただでさえ冷たいビールを毎晩飲むことを止められず、良心の呵責を感じていた僕は、薬は冷やし過ぎないようにしようと思った。

ほな、どうすんねん?
煎じたものを冷ましておき、飲む前に電子レンジで少しだけ温めることにした。
苦しむ回数は3回ぐらい。

飲んでいたのは、夕食後。僕は夕方からは水分を取らないようにして、できる限りのどをかわかし、帰宅してシャワーを浴びた後に冷たいビールを流し込むことを無上の喜びとしていた。夕食というより、ビールとそのあて。
人生の素晴らしさを感じて、気持ちも幾分大きくなって、それまでなら、その後好きな本を読みながらまどろむ・・・というのが一日の締めくくり方なのであったが、そうはいかなくなった。
人生の楽しさを感じた直後に苦しみを味わわなくてはいけなくなったのだ。

ジャッ、ジャジャジャジャッ、ジャジャジャジャッ、ジャジャジャジャジャジャジャジャジャ
じ~んせい 楽ありゃ 苦もあるさ
ビイルのあとには かんぽやく~

という歌が聞こえてくる時もあれば、

人生において、幸福の総量と不幸の総量は等しいものである。

なんて、文句が思い出される時もあった。

続く
漢方薬が飲めるようになったらアンタも一人前や →人気blogランキング へ投票

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2005/07/09

アトピーが治るまで(9)

~この記事は アトピーが治るまで(8) の続きです。~
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医院を出て、近くの漢方薬局に行き、2週間分の薬を受け取った。かなりのかさで、紙袋にいっぱいの量だった。
帰宅し、聞いてきた作り方を嫁さんに話し、さっそく煎じてもらうことにした。

薬を袋から出すと、二人で顔を見合わせた。
「えっ、これ薬?」
森を掃除してかき集めたような物体が詰め込まれていたのだ。
「これいったい何やろ?」
「まあ、薬局でもろたから、ゴミではないんやろな」

でも、本領発揮はそれからだった。
煎じだすと、すさまじいにおい。それに土瓶のような色が恐怖を増幅する。

「言われた通り煎じたよ」
「うっ、これを飲むのか。医者は飲みにくかったら冷やしてもええて言うてたけど、そういう言い方をするということは温かい方が効果が高いんやろな」
「どうするん?」
「とりあえず、いっぺん飲んでみるわ」

文字通り、鼻をつまんで飲んだ。というよりは、無理に流し込んだ。

あれは本当だった。

良薬は口に苦し

でも、正確には、それに至るまでに、まず

良薬は目に気味悪し

があって、次に

良薬は鼻に臭し

がある。

これを2週間、毎日朝晩飲むのか。「気長にやろう」なんて気楽なことをよく考えていたものだ。

「続けられそう?」
「とりあえず、明日はアイスで頂くわ」

続く

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2005/07/04

アトピーが治るまで(8)

~この記事は アトピーが治るまで(7) の続きです。~
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その医者は三宮にあった。山手幹線沿いの角地のビルの2階。医者を開くより、バーでも開きたい場所。

待合室が、普通の医者と違う。品の良いカーペットに、心地よいソファー。塵一つない。壁紙も落ち着いた雰囲気。東洋医学の医院らしく、書の額もかかっている。書体は隷書。
トイレがまた素晴らしい。普通のトイレの3倍か4倍くらいの広さ。大きな鏡。ウォシュレット。冬は便座が温かくなるタイプ。ほのかな香りの石鹸。
待合室にはBGMがかかっている。クラシック。音量は控えめ。上品な本棚には、画集さえ置いている。雑誌よりも単行本の方が多い。

ほとんどの医者で、診察を待つ時間は実にいらいらさせられるが、ここは本当に心地よい。ずっといたいぐらい。なぜここまで?

理由はすぐに分かった。待ち時間が長いのだ。一人一人の患者に本当に長い時間をかけている。
僕が行ったのは、もう晩の8時前で、僕の前には二人しか待っていなかったのだがそれでも半時間ほど待たされた。
そしていよいよ僕の番。

「朝霧さん、はじめまして」

「は、はじめまして」
(あれ、医者でも、初診の時はこんな挨拶するんだっけ?)

「お仕事は忙しいですか?」

「はい、おかげさまで」

「体調はいかがですか?」

「体調はまずまずですが、アトピーがなかなか治らなくて」

「これはかなりひどいですね。痒みも相当でしょう?」

「そうなんです。治るでしょうか?」

「うちは東洋医学ですから、対症療法ではなく、身体全体の状態をよくすることを考えます。そうするうちに症状が治まる場合もあります」

「ということは、治らない場合もあるんですか?」

「そうですね。治るかどうか分からないうちに、患者さんが我慢できなくなる場合が多いんですね。西洋医学に比べて時間がかかりますから。でも、体質で効果がない患者さんがいらっしゃるのは事実です」

(何て正直な医者なんだろう)

「朝霧さんも、とりあえず2週間ぐらい試してみましょうか」

「は、はい」
(えっ、「とりあえず」が2週間!!)

「漢方薬は初めてですか?」

「ええ、そうなんです」

「後で、薬局の人が飲み方を説明すると思いますが、あんまりきっちりしなくてもいいですよ。飲んでもいいなというときに飲んでください。1日おきでもいいし、食前でも食後でも構いませんから」

「そんなもんなのですか」

「気長にやるのが一番大事ですから。きっちりやらないとって思うと疲れるでしょう」

確かに、この医師は普通の医師ではなかった。人に指示されるのを好まない僕だが、言われる通り気長にやってみようという気になった。
この時は、まだ「あれ」を目にしていなかったこともあるのだが。

続く

次回も早く続きかけよ →人気blogランキング へ投票

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2005/07/03

アトピーが治るまで(7)

~この記事は アトピーが治るまで(6) の続きです。~
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前回から2ヶ月以上も続編を書かなかったのですが、何と、早く続きを読みたいというリクエスト(苦情?)を頂きました。おかげさまで応援はたくさん頂いていますが、具体的なリクエストはミュージカルバトンを除けば、ブログを始めて以来初めてです。
ご期待に応えるのは難しいですが、僕なりに努めます。

今まで登場した、専務、副社長に続いて登場するのは常務。
副社長、専務の二人が全然違うタイプながら、押しが強くパラノイックな仕事の仕方は共通していた。
ところが、常務は全くタイプが違う。
タイプの違いを、ある状況で説明してみる。1階から5階に移動する場合。

    • 副社長
      エレベータの開閉、階の指定など全てそばの者にさせる。奥に乗る。そばの者が「何階においでですか」などと聞かなければ、とたんに不機嫌になる。のみならず説教を始める。
    • 専務
      エレベータの開閉、階の指定など全て自分で行う。前に乗る。そばの者が何か言う前に「お前何階や?」と尋ねる。
    • 常務
      階段を軽快に駆け上がる。

先輩の話では、若い頃はテニスが非常に上手なスポーツマンだったそうだ。話し方も非常にスマートで、頭の回転が非常に速く、学識も深い。それもそのはず、大学は法学部と文学部と2つも卒業しているらしい。英語もペラペラ。でも、それらをひけらかすところは全くなく、実にさわやか。
ただ、金に対する執着が弱く、徹底さが足りない。と、直接の部下だった人たちは言っていた。仕事の面では苦労していたようだ。

その常務とは帰り道が途中まで同じで、たまに、電車で一緒になることがあったり、車に載せて頂いたりした。
同僚たちは、仕事がイマイチの常務を陰で軽蔑していたようだが、僕は仕事以外の話題が実に豊富な常務との会話は楽しいものだった。
ある時、常務が遠慮がちに僕に言った。

「朝霧君、その肌やけどな・・・・・・」

「すみません、見苦しくて」

「いやいや。それもしかして、アトピーか?」

「そうなんです。人が治る年頃に発症しまして」

「そうか。僕が以前かかっていた医者なんやけど、えらい面白い人がおってな」

「皮膚科医ですか?」

「いや、内科医やねんけど、東洋医学の医者や。僕は肝臓を悪ぅした時にかかったんやけど、ええ医者やった。アトピーの患者も診てるって話してたと思うねん」

「えっ、漢方でアトピーが治るんですか?」

「まぁ、体質によりけりやろうけど、いっぺん行ってみぃひんか? 治らんでも今後の話の種にはなるで。医者に対する君の見方が変わるかもしれん」

「変わっているんですか?」

「まぁ、一種の変人には違いないな。どう? 行く気あるか?」

「はい、行ってみます。」

その医者の名刺をもらい、仕事が早く終わった日に行ってみた。
確かに、普通の医者とは違っていた。

続く

今回は早く続き書けよ →人気blogランキング へ投票
(今回は明日続きを書くつもりです)

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2005/05/01

アトピーが治るまで(6)

~この記事は アトピーが治るまで(5) の続きです。~
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前回、皮膚科医に行って以来、酒は飲み続けた。入社して1年が矢のように過ぎた。ステロイドはいつのまにか塗らなくなった。塗ろうにも、なくなってしまったのだ。

仕事が忙しくなり、医者に行く暇などなくなったためである。始発で出勤して終電で帰ったり、週に3日も徹夜が続いたりした。trikera

もちろん、肌はボロボロ。ゾウどころか、恐竜のような状態であった。

そんなある日、副社長に会った。このシリーズ(1)以来の登場だ。

「おぅ、頑張っとるらしいな。どや。プロとしてやっていく自信はついたか」

「えぇ、何とか」

「そやけど、その顔はあかん。治療してんのか」

「去年、専務に皮膚科医を紹介してもらったんですが」

「専務? あいつがええ医者なんか知ってるのか? 専務いうても、仕事以外のことは耳貸さんでええねんぞ。俺がええのん教えたろ。お前、ルイボスティー知ってるか」

「いえ、聞いたことありません」

「南アフリカの茶や。何にでも効くらしい。やっぱり、アフリカには訳の分からんパワーが潜在的にあるんやで」

「あまり、そういう健康食品は興味ないのですが」

「食わず嫌いはあかん。俺が何ぼか送らせるから、まあいっぺん試してみぃ」

この後すぐにルイボスティーが自宅に送られてきた。このお茶自体は別に飲みにくいこともなく困ることはなかったのだが、他の事でちょっと閉口した。

最近、所有するサッカーチームも野球チームも連敗で 坊主頭にした人や、声優が変わったアニメの主人公に似たニックネームで呼ばれる人にも共通するようだが、ビジネスマンはスピードを大事にする。この副社長もそうだった。

ルイボスティーが送られてきた次の日から、毎日、副社長から私の部署に電話がかかるのだ。症状の変化を聞くためである。スピードを重視する人は、変化を好むので電話の応対には苦労した。

「飲むのに抵抗がなくなってきました」
「おいしく感じるようになってきました」
「気をつけなくても、飲み忘れないようになりました」
「結構香りもいいですね」
「副社長も飲まれているのですか」
「作るのがうまくなってきた気がします」
「今日はおかわりしました」

飲んでも、症状は変わらなかったので、上のようなことを適当に答えていたのだ。

続く

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2005/04/29

アトピーが治るまで(5)

~この記事は アトピーが治るまで(4) の続きです。~
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前回の、いい加減というか正直というか、まあとにかく飾ることのない皮膚科医のもとへ1週間後に再び行った。tendon

「おっ、きれいなってるやんか。な、やっぱりステロイドやろ」

「そうですね。痒みのない爽快さを久々に味わってます。ところで、先生、検査の結果出てますか」ebitiri1

「ああ、届きたてのホヤホヤや」

「どうですか」

「おぉ、・・・・・・。これほど見事な結果は、わしもあんまり見たことないな」

「どういうことですか」

「抗原抗体反応って知ってるか」soba

「まぁ、一応は」

「その抗体の数を調べたんや。数が多けりゃ反応しやすい、つまり、アレルギーが起こりやすいというこっちゃな」    

「そうですね」

「これ見てみ。ダニ、ハウスダストはともかく、イネ、ソバ、ダイズ、卵、牛肉、サバ、・・・。みなあかんわ。これなんか標準値の1000倍も抗体あるで」fukusa2

「食べ物には気をつけぇて言われたことあります」

「それどころやないで。
もう、食べるもんあれへんがな

「えっ、どうしたらええんですか」t-chikin2

「まぁ、わしがあんたやったら、気にせぇへんな」

「それでええんですか」

「一つや二つやったら気ぃつけようもあるやろけど、軒並みあかんからな。こんなもん気ぃつけよう思たら、アトピー以外にノイローゼも治療せなあかんようなるで」

「まぁ、そうですが・・・」

「あんた、酒飲むやろ」

「えぇ、好きです」

「酒やめ、言われたらやめられるか」

「いや、それはちょっと・・・」

「そや、それでええねん。酒でも楽しみながら、ステロイド塗って、気長にやるこっちゃ」

「分かりました。ありがとうございます」

徹底的に楽天的な皮膚科医のことばで、気楽になったような気もするが、要するに治る見込みがないことだと思うと気が重くもなった。

酒でも飲んで、もやもやを忘れよう。結局そのときの決断はそれだった。

続く

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2005/04/25

アトピーが治るまで(4)

~この記事は アトピーが治るまで(3) の続きです。~kyotouniversity
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京大出と聞いて、すまして嫌味な医者を想像していたのだが、予想は裏切られた。その皮膚科医は、専務と 同じ側 にいる人だったのだ。

「自分はアトピーいつからや」

「はい、高校の頃からです」

「まあ、わしには治せんやろけど、ひょっとすると治るかもしらんから、検査でもしとこか。けど、あんまり期待しなや」

「まぁ、今までどの医者も治せませんでしたから」

「あんた新人はんか? 社会人なったら社交辞令いうのを覚えなあかんで。当の医者の前で医者を信用せんみたいなこと言うてどないすんねん」

「すんません」

「まあ、あやまることはないわ。わしはホンマに治せるとは思てへんから。それはそうと、薬塗ってへんやろ」

「はい、ステロイドはようないて聞きましたから」

「もうそこまでなったら、塗らなしゃーないで。きれいになんねんから塗らな損やで。ステロイドはあかん言いながら、代わりのええ治療法見つけられんような奴らの言う事は放っとき。だいたいな、ステロイドやのうても、患部だけに効く薬なんかあらへんで。もこれからも絶対でけへんわ」

「そんなもんですか」

「そやそや。だいたい、西洋医学の薬いうもんは、患部を治しながら、めだたんように他の部分を殺しとんや」

「ほんなら、漢方の方がええんですか」

「あほぅ、まだ分かってないな。西洋医学の医者の前で、何言うとんや」

「あっ、すいません。つい」

「まあ、ええ。わしもホンマは東洋医学やりたかったんや。行く大学間違えたから、もうしゃぁないけどな。そやけどな、西洋医学の薬の方が、何と言っても早う効くで。中国人はゆったりしとうけど、アメリカ人はちょこまかしとるやろ。あの違いやな」

「ほんなら、一応ステロイドお願いします」

「一応も二応も、わしに出せるのはステロイドしかないわな。1週間ほどしたら、検査の結果出るから、またその時おいで」

この時、処方してもらったステロイドは、久しぶりに塗ったからか、劇的に効いた。3日後には痒みが全くなくなった。

痒みのない爽快な気分でいる私には、衝撃の検査結果が送られてくることなど予想だにしなかった。

続く

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2005/04/24

アトピーが治るまで(3)

~この記事は アトピーが治るまで(2) の続きです。~
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関西弁(神戸弁)になじめない方は、この記事のコメントをご覧下さい。
標準語っぽいバージョンがあります。

入社後、非常に個性的な専務と出会った。司馬遼太郎や陳舜臣と同じ大学の出身なのだが、とてもそうは見えない方である。

その専務が私の顔を見るなり言った。

256robo 「おまえ ひどい顔しとうな。ただでさえ、 ねずみ男 みたいな顔やのに、なん やその肌。人間の肌やないな」

「はぁ、アトピーがありまして」

「医者行っとんか?」

「前は行ってましたが、どの医者に行っても、治らんのでもう通うのをやめました。医者も治らんやろうと言うてました」

「お前、アホな医者に行っとったやろ。わし京大出のええ皮膚科医知っとるから連れてったるわ」

「ありがとうございます」

「はよ、用意せんかい。行くぞ」

「えっ、今からですか? まだ仕事があるんですが」

「あほぅ、わしに口答えするのは、250万年早いわ」

「はい、分かりました」

新人であった私は、言われるがまま その京大先生のところについて行った。

続く

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